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特集:日本一を目指す「明治大学ラグビー部、前へ」VOL.9

2009/08/04

吉田義人監督に夏合宿を聞く!

就任してスタートを切ってから4ヶ月が過ぎた8月、大学の試験でラグビー部の練習も小休止、ラグビー部は短い夏休みを迎えている。8日に八幡山グラウンドでの練習再開、夏合宿を目前に控えた吉田監督に、これまでの経過と今後にかける意気込みを聞いてみた。

「強い集団でなくてはいけない」

2月に吉田新監督の就任が発表され、正式には4月からチームを率いることになった。吉田監督が目指す強い明治大学ラグビー部とはどのようなものなのだろうか、あらためてうかがってみた。
「監督就任が決まり、選手たちを指導するコーチ陣を決定するのには、ひと月近い時間を要しました。僕はもちろんフルタイムの監督としてスタートすることを決めていたので、コーチ陣もできるだけ指導に時間をかけられるようにと考えました。選手たちがウエイトトレーニングなどで体の基礎をしっかりと作ることにも腐心しました」と吉田監督。
この結果、4月に記者発表が行われ、現在のコーチ陣による指導がスタートした。フルタイムで指導にあたることで選手たちは、常に見られることを意識できる状態になったのではないだろうか。
「僕が就任して、強い明治を復活させる、明治の矜持を取り戻すと言っているのは、ただラグビーが強いだけのチームを作ろうということではないのです。人の模範となれるプレーヤーが集まる強い集団を作ることがひとつの目的です」。
吉田監督によれば、目標を持った強い集団は常により高い目標を目指して多くの困難な状況を打開していく。その経験が次の改善策を生み出し、人間的にも協力してお互いに敬意を持って成長していく。仲間に対する強い信頼も生まれるのだという。

「その高い目標が山であるなら、山登りのガイドが監督とコーチ陣なのだと思います。もちろん目標を達成するためには、強い意志が必要です」。

「選手たちとのコミュニケーション」

これまで社会人のラグビーを指導してきた吉田義人氏にとって、監督として選手たちとのコミュニケーションで、お互いの意思を伝達することを大事にする吉田流のようなものはあるのだろうか。
「もちろんラグビーにおいて意思の伝達は非常に大切です。だから僕は明快に、わかりやすく伝えたいと考えています。どうラグビーの練習をして試合を戦うのか。逆に言えば、練習は試合のためにあるということ。目的と動機を明確にする。監督として、自分の思っていることをまずきちんと伝える。これがすべてではないかと思います」。
吉田監督の意思の伝達が大事であるという言葉には「ラグビーは、グラウンドに出たら一人一人が自己の判断でやっていかなくてはいけないスポーツ。時には相手の裏を突いて攻める。だからクリエイティビティも必要とされる」という考えが込められている。そして、監督は、練習の中もしばしばブラインドサイドの意思伝達について選手たちに話している。声のトーンで意思を伝えること、受け取ることなどユニークな指導でもある。クリエイティビティのあるプレーを選手たちが共有できなければ、その先にはつながっていかないのだから、コミュニケーションの根本的な考え方の共有は実に大事であるようだ。
スタート当初、柳澤副学長も「監督と選手たちがうまくやっていけるか心配だった」と話しているが、「勝ちたいものこの指止まれ」という言葉とともにスタートした吉田監督と選手たちは、「勝つ」というシンプルで大きな目的によってつながっている。短い時間の中で築かれたつながりだが、そこは盤石である。

「目前に迫った菅平の夏合宿」

8月9日から、菅平での夏合宿が予定されている。この合宿には、先発でスコッドの選手たちが向かうことになっている。吉田監督は、夏合宿にどのような成果を求めているのだろうか。
「本来なら夏合宿は全員でスタートしたかったのですが、僕が就任した時期からでは施設などの面でその準備をすることができませんでした。そこでいろいろな可能性を考えてスコッドを選考して先発することにしました。半分くらいの選手でスタートしますが、残りの選手も八幡山で練習を続けて合流します」。
吉田監督は、この合宿中に9月からのシーズンのスコッドを固めていくことにしている。9月に100%の状態にチームを持って行く考えのようである。ゲームの中でチームを作り上げていくのでは、その成長の度合いは遅いと見ているようだ。これは監督がよく話している「弱い自分に負けるな」という言葉につながっている。日本一を目指しているのだから、常に100%の力を出しきって前へ進む。相手に勝つ前に、自分の中のもう一人の弱い自分に勝たなくてはいけない。このことを3週間の合宿の中で徹底的にやっていきたいのだろう。
「夏合宿は、フィジカル・メンタルの両面の強さが試される時です。またその両面を作っていく時でもあります。100%の力を出しきって、きちんと食事もとって、よく睡眠もとる。戦略面も身につけていく。この機会にグーッと伸びていく選手も少なくない。僕やコーチ陣にとっても合宿なんですよ」と吉田監督。
どこのチームもみんな夏に一生懸命練習をしてシーズンに臨む。この時期、ほかのチームよりも質のいい練習をきちんとやってこそ秋の勝機が訪れる。短い休みから動き出す選手たち、監督、コーチ陣。シーズンまでどんな練習が待ち構えているのだろうか。熱い夏が、始まろうとしている。

(取材・文/遠藤一樹 撮影/福田喜一)