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特集:日本一を目指す「明治大学ラグビー部、前へ」VOL.6

2009/07/15

「7月の八幡山グラウンド」

遠征、試合が続いた6月が終わり、7月も半ばになり梅雨が明けた。今月3日早朝にスコッドが発表された。月の前半の週末に全体の練習が行われた。今週からは大学の試験も始まり選手たちも休みに入る。まだ選手たちのいないグラウンドはとても静かに穏やかな雰囲気だ。照り返す日差しもまだ優しい八幡山グラウンドに行ってみた。

「午前と午後に分かれての練習」

7月11日土曜日の八幡山グラウンドは、梅雨明け前の曇空から時々陽が射す天気に。午前中は過ごしやすく感じたが、気温と湿度は徐々に上がっていく。午前10時からの練習にスコッド以外の選手たちが集まってきた。
スコッド(SQUAD)は代表候補の選手たちの集団のことで、9月から始まる関東大学対抗戦を前に7月3日の朝に発表されたのだった。フォワード17名、バックス17名の選手たちが選ばれていた。スコッドに選ばれた選手たちは午後から、それ以外の選手たちは午前中の練習となる。
グラウンドに現れた選手たちは、ゆっくりとウォーミングアップを開始する。続いてパス100本、正確に素早くランニングパスが渡されていく。タイムを計りながらそのスピードと精度がアップされていく。
基本的なメニューを終えると選手たちは、フォワードとバックスに分かれてそれぞれの練習に移る。

「それぞれの練習に基本の動きがある」

バックスは3対2、2対1などから始まり、走りとパス、体の入れ方や使い方を見ているのが面白い。ボールひとつ前で取れるパスがつながれば、ディフェンスを置き去りにしてボールを持ったキャリアが前へ出る。残ったディエンスに1対1を果敢に仕掛けていく。こうした練習の積み重ねが、実戦で実を結ぶには、徹底した試合イメージを持つことが大事だという。プレーの選択肢が多いラグビーは、そうしたイメージングが先々の試合で相手との力の差となって行くように思えた。
フォワードはスクラムやラインアウトの練習をしていた。あらためて選手がデカく感じられる。スクラムを組んでガッチリと押し合う。時にはスクラムが崩れる。また解いてしっかりと組み合う。そんな練習が繰り返し行われる。ラインアウトの練習では、何度も大きな体が宙に持ち上げられる。ラグビーをやってきた者、見続けてきた人にとっては、当たり前の光景も、練習を見る機会がない人には、ラグビーのプレー1つ1つを理解することができてかなり面白い。

「独特のフォルムを持った道具たち」

グラウンドのあちらこちらで、やはり目に留まるのが、独特のフォルムの練習器具だろう。大勢の選手とコーチを乗せて、スクラムの練習に使われるスクラムマシーンはわかりやすい方だと思う。プリミティブなマシーンだが、確かにこれで押して行くことを体に覚えさせることができるだろう。同様の原理の一人用のマシーンがプッシュマンと呼ばれるもの。型と脇を決めて体幹を乗せて押して行く感じだろうか。これらの道具たちを活かすのもやはり意識が大切のようだ。バックスの練習に、コーチとともに立ち会っている吉田監督の声が聞こえてきた。
具体的なアドバイスに加えて「ちゃんとイメージを持って練習できているか。試合のイメージを持てなくてはいけない。目的、意識、動機を持ってやっていこう」という言葉も聞こえて来る。結果を出すための練習。休みの間の体調の維持など、大学の試験とともに選手たちの課題はいろいろとあるようだ。

「練習の合間の自主トレは和やかに」

午前中の練習が終わった選手たちが、グラウンドの横に何人かが集まり、話をしながら、簡単な自主トレもやっている。パワースクラムという名称のマシーンの使い方を見せてもらう。何となく和やかな昼休みである。あと1日、練習をするとラグビー部は基本的に休みになるのだという。7月の大学のテストは、どれくらいのボリュームがあるのだろうか。食堂にいた4年生の梶岡くんに聞いてみた。梶岡くんは、ラグビー部の広報責任者でもある。
「そうですね、僕の場合は10科目あります。29日頃までテストがあります。人によって違いますが、だいたいその前後で終わると思います。その間は大川さんに作っていただいたメニューでトレーニングをやっています。もちろん休みに実家に帰ったりもしますが、8月8日に測定があってそこには何としても頑張りたいので自分なりにトレーニングは続けます」と話してくれた。話し終わる頃には、この日の昼食、スパゲティー、サラダ、ご飯を完食。午後はちょっと昼寝をするかもと言っていた。

「7月に体をキープするためにも」

8月8日の測定というのは、スコッドを最終決定するためのものであるようだ。現在34名の少し少ないスコッドはそのための人数なのだ。8月の合宿直前に再び測定を行うことにはどのような意味があるのだろうか。
「選手たちにとって、秋のシーズンを前にした7月の過ごし方はとても大切な時期であることを伝えたい。選手は学生ですから大学に行って試験を受ける、勉強をするのは本分でもあるわけです。友達と会ったり、学生生活も重要なんです。しかし、この時期に意識をきちんと持って春から作ってきた体をキープしていくことも大事。そういう意味もあって8月8日に測定を設けました」と吉田監督。頑張ればスコッドに入ることができる状況で、競争心を持って7月を過ごすことになる。「日本一を目指してスキルアップしていくためには、やらされている練習ではダメなんです。強くなるためには選手たちの自主性がとても大事なんです」と語った。

「やかんの水を飲みながら8月を目指す」

練習中は、とにかく水が欠かせない。蒸し暑いグラウンドを疾走し、ボトルから水を摂る。ワンプレー集中して、ブレイクして水を飲む。水は大きなタンクから、氷を入れたやかんに入れたものを、マネージャーたちがドンドンとボトルに詰めていく。ドンドン飲むからドンドン補充して、グラウンドの中をケースに入れて転々と移動していく。その光景を眺めているとその水が選手一人一人の筋肉になり、パワーを生み出しているように思えてくる。それにしてもおいしそうなので一口もらってみた。マネージャーにペコリと頭を下げる。おいしい。8月の菅平での合宿は、かなりハードなものだと聞く。やかんから注ぎ込まれた水はさらなる力を発揮することだろう。そして7月八幡山でのトレーニングの成果はどう現れるだろうか。

(取材・文/遠藤一樹 撮影/福田喜一)