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特集:日本一を目指す「明治大学ラグビー部、前へ」VOL.3

2009/06/22

「宿敵、早稲田大学に破れる!」
春のオープン戦、いよいよ学生チャンピオンの早稲田大学との試合を迎えた。前日の早稲田B、Cとの練習試合では、Bが大敗し、Cが勝利する結果に。ぜひとも勝っておきたいゲームではあるが、いまのチームの実力がどの程度まで来ているのか見極める試合でもある。札幌の月寒屋外競技場、午後1時、左から右に大きくなびく旗を見ながら、キックオフを迎えた。
札幌市月寒屋外競技場 招待試合

2009年6月21日
試合結果 ●明治大学17-33早稲田大学

「早稲田戦ですべてを出しきれ!」

春の試合はここまで全勝の明治A、早稲田戦にこの状態で臨めるのは実にいい状況である。早稲田も明治を意識して力を出して戦ってくれるはずだ。
「いまの自分たちが、どれだけの力を持っているのか。選手たちが肌で感じるはず。明治は、気持ちの強い選手たちを選んできています。100%の力を出しきって早稲田と戦うでしょう。フォワードが相手のディフェンスをどれだけこじ開けられるか。立った状態でどれだけプレーできるか。タックルが強い相手にどれだけ立っていられるかが鍵になります」と試合前の吉田監督。
風上を自陣に選んだことでエリアマネージメントがかなり有利になるだろうと予測される。立ち上がりから押していきたいところだ。
「正直なところ今日の試合は、やってみないとわからない。選手たちは頑張ってきているが、3ヶ月で急激に力がつくわけではないから。今日はしっかりと力を出しきってチームにどの程度の実力があるのか見極めたい」と西原ヘッドコーチも語った。

前半の立ち上がりに気合いのトライを決める!

立ち上がり、ドライビングモールで押しながら、ジリジリと敵陣に入っていく明治。フォワードが前に出て、相手のディフェンスをこじ開けていく。早稲田の低く速い当たりにも負けることがない。5分には、早稲田の反則から、ドライビングモールで押し込んで、最後は8三村がトライを決める。この気合いの入ったトライで立ち上がりの勢いを得た。15田村が風の中、難しい角度のゴールを確実に決めて、チームの集中力を持続させる。さすがに早稲田も速いパス回しで攻め込んできた。11分には、トライ、ゴールを奪い返し、同点とされた。今月の初めから「立ち上がりにペースをつかむこと」が各ゲームの課題とされてきたが、この試合も明治はかなりいい立ち上がりを見せている。スコアは五分だが、10分間をしっかりと制して中盤へとつないでいる。緊張が途切れることなく一進一退の攻防を続けるが、風上をうまく使ったエリアマネージメントで押し気味に感じられる。早朝の雨もすっかり上がり、雲の合間から晴れ間も見える。雲の流れが速い。25分、ハーフウェイライン近くから、15田村がペナルティーゴールを狙う。惜しくも外したが、風を読んだいい選択だった。

「均衡を破れ、得点を重ねていけ!」

その後も攻められては守り、粘って押し返す。なんとか立ったままプレーをしたいところだが、早稲田の当たりも強さを増しているように見えた。34分、敵陣ゴールポストのほぼ正面で、15田村がペナルティーゴールを狙う。これを冷静に決めて、7-7の均衡を破り10-7とした。37分、いいかたちでパスがつながり明治が攻め上がる。このまま行けるか、とスタンドが沸いたところでノックオン、早稲田ボールに。このあと、早稲田のスクラムから出たボールをキックししたところを5友永がインゴールでブロックして、そのままトライ。ゴールも決まって17-7と早稲田をリードする。このリードを守り抜いて前半を折り返したいところだったが、早稲田も攻撃の手を緩めることなく、39分、明治のオフサイドから早稲田ボールとなり右サイドから攻め込まれトライを許した。17-12、ゴールは強い向かい風に阻まれるかたちで失敗に終わった。ここでハーフタイム。見ている誰もがいいゲームだと感じた前半だった。

「後半の立ち上がり、今日こそ」

同志社戦、慶應戦と後半の立ち上がりでペースをつかむことは、チームに課せられた課題となっていた。いい感じで前半を終えた今日の試合こそ、後半の立ち上がりで引き締めたいところだ。後半がスタートしてから攻防のやり取りがあり8分が経過する。お互いに決め手となるプレーがないまま9分に差しかかる。明治のハンドの反則を機に、左サイドに攻め込まれる。11分、早稲田ボールのスクラムから左にトライを決められて逆転。ゴールもきまり17-19。後半の立ち上がり、明治は決して悪い状況ではなかった。得点は奪われたものの、ボールをキープしながら前に出て行く。フォワード勝負で、突き進むが、なかなか突破できない、ボールを持ちながらも膠着した時間が続いた。激しい当たりで1小暮が負傷し、手当ての間に16芽島が入った。オーバーザトップのあとの25分、早稲田にトライとゴールを奪われて17-26と引き離される。早稲田も3選手を入れ替えてさらに突き放すべく攻撃を仕掛けてきた。29分には、自陣からインゴールに蹴り込まれたボールをそのままキャッチされ、トライとゴールを決められて17-33とされた。早稲田のテンポが目に見えて上がってきた。パス回しが速い。フォワードが走り込んで来る。31分に、8三村に代わり18名護が入り、37分には9金澤、11内田がアウトして、20下村、22石井が入った。最後まであきらめない。勝つことへの執着がうかがえた。その後も早稲田の速い展開を防いできた明治は、最後に自分たちでチャンスをつかんだ。フォワードが押しながら前へ出る明治らしい攻撃で、敵陣に攻め込んだが、そこでノーサイドとなった。

「この時期に、価値あるゲームとなった」

結果は早稲田に破れた。悔しいゲームである。ここまで一対一に徹底的にこだわりながら、固まりの中でも、いいパフォーマンスを繰り出してきた明治Aが負けた。吉田監督は、試合後の記者会見で前年学生チャンピオンの早稲田大学をリスペクトしながら、記者たちの質問にも応えていた。
「早稲田は期待通りのすばらしいチームだった。基礎、土台がしっかりしている。今日、こうして早稲田と戦えたことでいろいろと見えてきたところもある。明治大学ファンの皆さんにも多大なる期待と応援をいただいているが、明治は9年間チャンピオンになっていないし、昨年は学生選手権にも出られなかった。ラグビーは経験が顕著に現れるスポーツ、明治は土台をしっかりと作っているところ」と話している。
試合後、11内田選手は「悔しいすねえ。ゲームプラン的にはフォワードで押していく予定だったので思ったように走れませんでした」と言葉少なく語った。この日、17の神田選手は「リザーブだったので、なんとも言えませんが、行けそうな感じだったのでもったいなかった。フォワードのセットプレーを強化していきたい。ここまでいいテンポで来ていたので、これを課題にまた頑張ります」と話してくれた。

「これからが楽しみになる負け方だった」

主将の金澤選手は「ここから分析をしてもう一度チャレンジしたい。1から戻ってやり直すことはない。このまま練習を積んでもっと強いチームになりたい」と秋に向けての目標は明確だ。バックスを中心に見ている土橋コーチは「バックスの修正点は、前の試合でも見えていたが時間が足りなかった。問題は夏の間に確実に修正できるだろう。それよりも今日の試合を体験できたことは選手たちにとって大きい。この時期にきちんとラグビーをできることが、とても大きな意味を持つ。秋が楽しみです」と語った。
「課題が浮き彫りになったいい負け方だった。これからが楽しみになる。あとは夏の合宿でしっかりとやるだけだ」と西原ヘッドコーチは笑みを浮かべた。
勝ちにこだわって戦ってきた春のオープン戦だけに、悔しい思いもあるが、「勝つことのプライド、負けることの悔しさが、選手たち一人一人に刻まれた」と吉田監督は言う。しっかりとターゲットが明確になったというのだ。グラウンドを後にしながら「2トライ、2ゴールは射程圏内」と今日の試合を振り返り言葉を残した。いいかたちで課題をもらって、オープン戦が幕を閉じた。


(取材・文/遠藤一樹 撮影/福田喜一)

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2009-06-21 早稲田大学 ● 17-33 ○