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特集2010:「東海大を撃破する!」
2010/06/15
日本一を目指す「明治大学ラグビー部、前へ」VOL.41
「東海大を撃破する!」




6月12日、第20回千葉県ラグビー祭が行われた印西市松山下公園陸上競技場は晴天に恵まれていた。気温は上がり車の温度計は29℃を超えていた。午前中の2試合の後に行われる明治vs.東海、NEC vs. NTTコミュニケーションズの試合を観ようと大勢の観客がスタンドを埋め尽くした。左から右に時折強い風が吹いていた。両校選手がグラウンドに姿を現した。
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「暑いけどしっかり走ろう」
11時を回って、選手たちのアップが始まった。野球場でのアップは芝の照り返しが暑く感じられた。「暑いけどしっかり走ろう。集中力だ。集中力」と主将の杉本の声が飛ぶ。グラウンドには、副将の衛藤や名嘉の姿があった。怪我が癒え始めた選手たちが見守る中、ウォーミングアップは進んでいく。少しだけ吹き始めた風が熱気を持ち去ってくれる。それにしても暑い。この日もスタメンに入った圓生のスローインを見守る細谷ヘッドから声が飛ぶ。「もっと高く」。キャッチできるギリギリの高さへのスローインが求められているのだろう。「よし、ナイスボール」。一球、一球確認しながら積み重ねられていく。最後はダミーを持った選手相手の激しくタックルの練習で締めくくる。時計は試合開始の15分ほど前に差し掛かろうとしていた。グラウンドからは、両校の選手を紹介するアナウンスが流れ始めた。ロッカールームでは、紫紺に着替えた選手たちが集まった。「22名はチームの代表、今日はチャレンジしまくろう」と細谷ヘッド。「1対1、ずっとやってきた1対1にとことんこだわって前に出ること。先ずはFWから主導権を取っていこう。80分間集中して、全力を尽くそう。皆の力を合わせ必ず勝とう」と吉田監督は選手たちに檄を飛ばすように話した。杉本が円陣に気合いを入れて、選手たちがロッカーを出て行った。
東海のキックオフで始まった試合は、明治がいきなりプレッシャーをかけて攻め上がる。2分、東海陣内の深いところで9秦から10田村にわたったボールを田村が大きく外に振って11小澤がトライを決めた。10田村のキックも成功し、7-0と先制した。この後、攻防が続くが、明治は終始プレスの利いたディフェンスで東海を押し込めていた。キックで明治陣内に攻め込まれても10田村が大きくタッチに蹴り出しエリアマネジメントを制した。しかし21分過ぎ、東海陣内からリターンしてきた東海11宮田は、キックチェイスで自らボールをキャッチして15小泉を振り切り、トライした。得点は7-5となった。




「揺るがない紫紺の壁」
東海に試合の流れが変わるか、と思われた24分、10田村が9秦から受け取ったボールをパスフェイクして、東海のディフェンスの裏をつき一気にトライして12-5とした。東海もしぶとく攻め上がるが、明治陣内の深いところでもディフェンスに阻まれて、得点の機会を得ることができない。何度攻め込んでも、紫紺の壁に阻まれていた。前半終了間際のロスタイム、42分、東海の反則からペナルティゴールを選択した10田村が、見事にこれを決めて15-5でハーフタイムとなった。1トライでは届かないリードを作ったのだった。ハーフタイムはロッカーには戻らずグラウンドのベンチで過ごした。FW、BKがそれぞれ話し合った後で、チームが集まり細谷ヘッドが話した。「FWはほとんど俺たちが支配している。後半は風下だからスクラムに時間をかけよう。スクラムトライも狙っていこう」。そして吉田監督が話す。「後半の修正点は2つ。1つ、1対1のタックルは、もっと低く鋭く、相手を確実にしとめよう。2つ、ボールキャリアは接点で一番強く激しく、しっかりボールを扱うこと。勝つためには、更に身体を張って前に出て勝負することだ。しっかり走っていこう」と短く指示を出した。
明治のキックオフで始まった後半、東海も強い当たりで攻め上がってくる。3分、明治のペナルティから機会をつかんだ東海がトライを決めて15-10と迫る。前半終了間際の得点が利いている。1トライでは追いつくことができない。得点は取られても明治のディフェンスが揺らぐことはなかった。東海のラインアウトから明治がボールを奪って反撃に転じる。14斎藤が大きくゲインしたところで、東海はハイタックルの反則。9分過ぎ、明治はこの後のラインアウトからモールを作り、ドライビングしてトライを決めた、10田村のゴールも決まり22-10と再びリードを広げた。




「22人の紫紺が戦う」
前半6分に1小暮が負傷して、17榎が入っていた。後半11分、6千布に替わって19榮長が入り、16分、2圓生に替わって16郷が入った。17分過ぎ、明治はペナルティ後の東海のクイックスタートからトライとゴールを奪われて22-17とされる。直後に13大澤に替えて21猿楽が入る。ゲームは5友永が敵陣の深いところで東海のキックを猛然とチャージしてこぼれた球をそのまま拾ってトライを奪っていた。10田村がゴールを決めて29-17とした。4古屋に替わって18梁 、その後、14斎藤に替わって22木村が入った。明治はリザーブの選手も含めた22人が一つのまとまりとなって戦っていた。替わって入った選手たちは、直後から集中力を持ってそれぞれのポジションでパフォーマンスしている。だからチームのテンションが落ちることなく、プレッシャーをかけ続けていくことができた。26分、明治がパスで展開しながら攻め上がっていく、15小泉の力強いゲインが続く。タックルをもらっても倒れることなく前へ出て、トライを奪い34-17とした。ピンチでもディフェンスが敵を阻む。ウォーターブレイクを挟んだ後の33分、自陣での粘り強いディフェンスからターンオーバーして11小澤が一気に駆け抜けてトライ、10田村がゴールを決めて41-17。さらに35分、パスで展開し次々と相手ディフェンスをかわして21猿楽がトライ、10田村はこのゴールも決めて48-17とした。9秦に替わって20田川が入った。終盤に入ってもディフェンスは衰える様子を見せなかった。40分過ぎ、スクラムでペナルティを取られ東海ボールとなったところで、10田村が「明治戻れ、ディフェンスだ。下がれ」と大きく声をかけた。41分、東海の攻撃でトライとゴールを取られ、48-24となったところでノーサイドを迎えた。予想を上回る大差での勝利となった。



「勝ちにこだわった試合」
春の試合は、それぞれの試合に目標を持って戦ってきた。1対1にこだわり、強いディフェンスにこだわり、そして勝つことにもこだわって戦ってきた。試合後は、グラウンドから観客席の下に入った通路の端で選手たちがクールダウンしていた。どの表情も明るく、充実した感じを受けた。先シーズンの準優勝、東海大に力を出しきって勝利したという結果がもたらした空気だった。身体を伸ばした選手たちは、その場で小さく円陣になって集まった。細谷ヘッドが話しているが、グラウンドで続けられているセレモニーの大音量で声はかき消されてしまう。「勝ったら気持ちいい。勝つためにはキツい練習もやっていかなくてはならない」そんな言葉が漏れ聞こえてきた。しかし、その表情からこの試合への満足度をうかがい知ることができた。吉田監督が円陣の真ん中に入り、「皆、聞こえるかな?」と声をかけた。はい、大丈夫です、と選手たちが頷く。監督が話し始めると再び大音量に声は消されがちとなったが「東海大学に勝利したことは大きな成果。君たちの実力だよ。いまの状態を絶対に落としてはならない。ここからさらに強くなるんだ。我々はもっと上って行ける。その為にも、更に精度をあげていくことにこだわろう。そして、勝利したゲームから出た課題を練習で一つ一つ克服しながら、学んでいく姿勢を持ち続けること。これからも、皆で力を合わせ勝利に向かって突き進んでいこう」と力強く語った。試合後に杉本主将は「僕らがいまやることは、強みを活かしていこうというだけです。それが全員で意思統一してできた。それだけです。僕は春の試合はオールフル出場なので、試合が終わった後、翌日は疲れたと感じますが大丈夫。あと2試合頑張ります」と話している。記者たちの囲み取材を受けていた吉田監督は、まだ春ですからと前置きしながらも「我々明治は、いま一つずつ勝っていくことが大事。勝つことにこだわりを持っています。階段を一つ一つ上がっていき、栄冠を掴むためにそうしたこだわりは大切です。来週の帝京戦は昨年の大学選手権のチャンピオンチームなので、A・B・C・Dチームとも胸を貸していただけることに感謝です。全力でチャレンジしたいと思っています。春から取り組んできたきたことに自信を持って全部員で乗り込みます」と話している。昨年完敗を喫した帝京を相手に、どんな試合となるか期待したい。
(取材・文/遠藤一樹 撮影/福田喜一)
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