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特集:VOL.23「対抗戦、慶應に破れる」
2009/11/02
関東大学対抗戦3連勝で迎えた4戦目、優勝を目指す明治大学にとってはひとつの山場となる慶応義塾大学との一戦。真っ向から勝負に挑んだ一戦だったが、慶應を打ち砕くことはできず、敗戦を喫することとなった。強い風が吹く、秩父宮ラグビー場で強豪を相手に、正面からぶつかっていったゲームは、チームに新たな課題を与えることになった。攻めの気持ちで果敢に戦った試合から得たものは大きいはずだ。
午後1時、秩父宮ラグビー場のロッカールームにはアップ前の選手たちと監督、コーチ陣が集まっていた。緊張感が漂っているが、雰囲気は悪くない。試合を前に少しずつテンションが上がり始めている感じだ。吉田監督が選手たちに話を始める。
「今日のゲームを非常に楽しみにしてきた。ここにいるのは自信を持って選んだ22人のメンバーだ。これまでやれることはすべてやって来た。だから今日は、その力を出しきって、我々に立ち向かってくる慶應をつぶす。やって来たことを出していけばいい、心配はいらない」。
このあといくつかのプレーのポイントが伝えられた。テクニカルな細かいアドバイスもあった。短いミーティングを終えた選手たちは、サブグラウンドでのアップに向かった。日当りのいいサブグラウンドで、大川コーチが選手たちを集めて声をかける。
「ミスはしたくないけど、完璧は求めないようにしよう。ノーミスのゲームはあり得ない。もし忠佑(西原)がミスをしたら誰かがカバーすればいい。完璧にやろうとする気持ちから守りに入らないように、気持ちを切り替えてやっていこう」。大川コーチの言葉は、試合を直前に昂る選手たちの気持ちをストレッチさせるように染み込んだ。主将の西原くんが破顔し、いつも通りアップが始まった。それにしても11月にしては気温が高く、風が強い。
明治のキックオフで試合は始まった。強い風がグラウンドの芝を波打たせている。トスで勝った慶應が、風下の陣地を選択していた。2分過ぎ、慶應のペナルティからキックを得た明治は、ハーフウエイラインの近くから10田村がゴールを狙う。距離は充分だったが、コースを外して得点とはならなかった。しかし、果敢に攻める姿勢がうかがえた。攻防が続いた12分過ぎ、明治陣内でボールの処理に手間取った一瞬をつかれ、慶應12増田にキックチェイスでトライを奪われる。ゴールも決まり0-7と先制された。19分過ぎには、明治らしい攻撃から大きくゲインして慶應陣内に攻め込むが、さすがに低く速いタックルに阻まれる。慶應のディフェンスは戻りが速い。そんな状況でもディフェンスからチャンスをつかみ大きくゲインする場面も見られた。強い風の影響もあり、ラインアウトが思うように決まらない。ロスタイムの42分、自陣での慶應スクラムからのプレーでトライを許し、0-12で前半を終えた。2つのトライはわずかなスペースと時間のなかでスッと持っていかれてしまった印象を受けた。
明治は、ハーフタイムをロッカールームに戻らずグラウンドで過ごした。フォワード、バックスがそれぞれ話している。もっと前へ出よう。フェイズプレーで行こう。攻めきろう。そんな言葉も聞こえてくる。何とか流れを変えたい、そんな雰囲気があった。そして、それが可能であるように感じられた。
慶應のキックで後半が始まった。あっという間に慶應が、明治陣内に攻め込んでいる。1分過ぎに慶應2金子がトライし、0-17となった。まだ風が強くゴールを狙うのが難しい状況が続いた。明治の集中も切れることはなかった。5分過ぎ、ディフェンスから相手のパスの間に体を入れた11山口が、ハーフウエイライン手前でボールを奪いそのまま駆け抜けてトライ。難しい角度のゴールは外れたが、5-17とした。13分、明治のペナルティから慶應がペナルティゴールを狙い、これを決め5-20とした。このあと6三村に替わり19堀江が入る。攻防が続いた21分過ぎ、7西原がラフプレーからシンビンを取られて10分間の退場となる。23分、慶應がトライとゴールを決めて5-27と差が広がった。25分、9秦に替わって20下村が入る。攻め込む場面もあるのだが、慶應のディフェンスに阻まれてしまう。27分に2鈴木、4渋谷に替わり16伊吹、18友永が、30分、10田村に替わり21斉藤が入る。32分に7西原がグラウンドに戻った。このあと33分と36分にトライ2つとゴール1つを奪われて5-39でノーサイドとなった。
「得点差ほど、力の差があるわけではない」。試合後に長谷川コーチが言った言葉だった。負け惜しみではなく、そのように見ることができた。それだけ慶應が試合巧者であったということだろう。記者会見で吉田監督と西原主将はこう答えている。
「戦う準備はしてきましたが、まだ力及ばす力を出しきれなかった。慶應のすばらしいラグビーに阻まれた一戦でした」と吉田監督。
「負けたという気持ちはなかった。劣勢になることはわかっていたが、少ないチャンスを活かしていく予定だった。しかし、自分たちにもミスが出てしまった」と西原くんは話した。春、夏合宿での慶應との試合で、その実力を肌で感じていたのだという。しかし、あらゆる状況が想定できただけに試合で結果が出せなかったことが悔しくもあるのだろうとうかがい知ることができた。
ロッカールームで試合後の短いミーティングが行われた。コーチたちの言葉に続いて吉田監督は選手たちに言った。「申し訳ない。君たちを慶應戦で勝たせるころができなかった。申し訳ない。全勝優勝させることができなかった。しかし、全勝は消えたが優勝する。もう一度、反省してやり直そう。改善すべき点を改善して、このメンバーで勝ちたい。次のターゲット、筑波大学に向けて全力でやっていこう」。
「私生活からしっかりやろうと普段から言っているけど、今日もそういうところが出たと思う。そこからしっかりやっていこう。こんな試合でも、自分たちを応援してくれるファンがいる」と西原くんは話した。
次の試合は、日曜日に迫っている。再び鋭気に満ちた明治が、筑波を相手に仙台のグラウンドを縦横無尽に駆け抜けるビッグゲームを期待したい。































