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特集:VOL.18「逆転勝利と大きな自信」

2009/09/28

日本一を目指す「明治大学ラグビー部、前へ」VOL.18
「逆転勝利と大きな自信」

関東大学ジュニア選手権の第二戦を迎えた。相手は宿敵、早稲田だ。先週末に行われた開幕戦では、後半に粘りをみせながらも、前半に失ったビハインドが重くのしかかり、関東学院を前に勝利を逃した明治。その試合で明らかとなった課題を修正し、この大会での初勝利を挙げることができるのか。明治の修正能力が試される試合となった。初戦とはスコッドメンバーを入れ替え、敵地、上井草グラウンドで行われたジュニアチームの明早戦。学生ラグビー屈指の伝統校同士ともあり、会場には多くの観客が訪れた。いやが上にも注目される好カード。果たして、劇的な逆転勝利を挙げることになる。

関東大学ジュニア選手権
明治大学 vs. 早稲田大学
○36―29●

2009.09.27
早稲田大学 上井草グラウンド
「膠着の前半」

選手全員で列を作り、拍手とともに選手を送り出す。ジュニア戦では恒例となっているシーンで幕を開けた早稲田戦。クラブハウスから勢い良く飛び出してきたスコッドメンバーが、みな引き締まった表情をしているのが印象的だ。初戦を落としてしまったこともあり、この試合は勝たなければならない。そして相手は早稲田。自然と気合いも入るのだろう。厚い雲に覆われたこの日、風はほとんどなく、時折弱い風がグラウンドの右から左へ吹く程度だ。前の試合で悩まされたキックにもうまく対処することができるはず。そんな中、明治のキックオフで試合の幕が切って落とされた。

序盤は静かな立ち上がり。両チームともミスが少なく、お互いに様子を探ったような展開だった。その中でも目立ったのが、早稲田の前に出るディフェンス。オフサイドラインのギリギリのところから、飛び出してくる。これには明治も手を焼いてしまいそうだ。そのような立ち上がりから、スコアが動いたのは開始5分のこと。早稲田が明治の中央をラインブレイク。そこから左サイドのバックスへと素早く展開し、トライを許してしまった。早稲田のゴールは外れ0-5。落ち着いた試合内容だっただけに、悔やまれる失点だった。その4分後、再びトライを奪われる。明治のゴールライン近くでラインアウトを得た早稲田が、そのままモールを作り、インゴールへとドライブしたのだ。ここでもゴールは外れたが、0-10と点差をつけられてしまった。初戦の関東学院戦と同じく、立ち上がりからの連続トライを許す展開。嫌なムードが漂うが、グラウンドのフィフティーンは声を出して盛り上げ、下を向く選手もいない。「勝ちにこだわる」明治を感じることができるシーンだった。早稲田の素早い展開に適応できてきたこともあり、その後は再び落ち着きを取り戻す。優勢に進めていたスクラムを足がかりに、相手陣内へ攻め込み、じりじりと前進していく。そして18分、待望のトライが生まれる。8竹内の突破をきっかけに、15石丸、14斉藤とつなぎトライ。10染山のゴールは外れたものの、5-10の1トライ差とした。すぐに追いつきたいところだが、早稲田の前に出るディフェンスに止められてしまう。明治もそれに呼応するように出足の速いタックルから、相手のハイテンポの展開を阻止。試合は膠着した展開を迎える。その状況を打開したのは早稲田だった。28分、意表を突くハイパントから大きくゲインし、サイドへ展開。それをきっかけに、明治のゴールライン前でのラインアウトを獲得する。そこから前回の得点シーンと同様にモールを組み、インゴールへとなだれ込んだ。今回はゴールも成功し、5-17と離されてしまう。しかし明治もすぐに取り返す。35分、早稲田のペナルティから相手ゴールライン前でのラインアウトを獲得。モールを作り、最後は6古屋がトライを決めた。ゴールは成功しなかったものの10―17と1トライ1ゴール差へと詰め寄った。そこで前半が終了。初戦にたびたび見られたミスやペナルティが大幅に減り、締まったゲーム内容となった前半だった。初戦で明らかとなった課題を修正できているようだ。後半の展開が楽しみな前半の戦いとなった。

「追い上げる、後半の明治」

後半は早稲田のキックオフから試合が開始。関東学院戦では大幅にメンバーを入れ替えた明治も、この試合では交代はなし。吉田監督もこの日の前半の出来には手応えを掴んでいるようだ。ところが早々の4分、またしても明治のゴールライン前からのラインアウトからドライビングモールを作られ、トライを許してしまう。同じ形から3度目の失点。後半の立ち上がりだっただけに、防ぎたい場面だった。早稲田のゴールも成功して10-24と離されてしまう。しかし3分後、明治がビッグプレーから取り返す。グラウンド中央付近での、明治ボールのスクラムから10染山がオープンサイドへ低いキックパスを送る。そこへ15石丸が走り込み、そのままインゴールへ駆け抜けトライに成功。大きな歓声が上がったシーンだった。そして10染山は難しい角度からのゴールも決め、17-24と再び詰め寄った。明治の強力なフォワードのプレッシャーが効き始め、早稲田の展開力を抑え込んでいく。ここで一気に追い上げたいところだが、早稲田も簡単にはそうさせない。12分、この試合で終始成功させている、ラインアウトからのドライビングモールを再び敢行し、トライを奪取。ゴールは外したものの17-29と再び明治を突き放した。追い上げたい明治は、キックオフのリスタートからラッシュをかけ、早稲田陣内でのターンオーバーに成功。ゴールライン前でモールを作り、そこから展開。最後は6古屋がこの試合2度目となるトライを決めた。10染山が再び角度のないところからゴールを決め、24-29。早稲田のトライから4分後のことだ。ペースは明らかに明治にある。このまま追いつきたい明治は2伊吹に替えて16渡部、11木村に替えて22内田と相次いで交替する。素早いテンポの展開で、明治を苦しめてきた早稲田にも徐々に疲れが見え始め、スピードが落ちてきた。そして26分には、この試合で4度目となるラインアウトからのドライビングモールという形を明治が阻止。早稲田の攻め手を封じた。そして30分、同点へと追いつくトライが生まれる。明治のマイボールスクラムから、右サイドへ展開し、最後は14斉藤がトライ。10染山のゴールはならず、一気に逆転とはならなかったが、29-29と追いつかれた早稲田はプレッシャーからミスを出すようになる。そうして明治の時間帯が続く中、終始優勢なスクラムやブレイクダウンから、早稲田陣内でのプレーを続けていく。そして38分、とうとうその時を迎える。自陣でのプレーを切るための早稲田のキックを14斉藤がキャッチ。この試合、2度のトライを決めている彼が、そのままステップを踏み、早稲田の中央をラインブレイク。トライを獲得した。大きな歓声がおこり、明治のフィフティーンは喜びを爆発させた。試合終了前の劇的なトライだった。10染山はここでもゴールを決め、36-29とこの試合初のリードを奪う。ロスタイムを使い早稲田が必死の反撃に出るも、明治がしのぎノータイムの笛。ドラマチックな逆転劇となった。

この試合では、何名ものヒーローが生まれた。複数のトライを挙げた、6古屋や14斉藤。巧みなキックが光った染山、大きな声を出してチームをうまくコントロールした下村、スクラムやブレイクダウンでプレッシャーをかけつづけたフォワード陣など。もちろん、その他にもいるだろう。この試合、特に後半の40分間は早稲田を圧倒した明治。大きな自信を手に入れたはずだ。初戦で明らかになった課題を修正し、自信へとつなげたチームの力は本物に違いない。次の帝京大学戦ではどのようなヒーローが生まれるのか。そんな期待を抱かせる早稲田戦となった。

(取材・文/田口悟史 撮影/福田喜一)

関連試合

2009-09-27 早稲田大学 ○ 36-29 ●