特集:VOL.31「大学選手権準決勝の戦い」
2010/01/04
2010年の新年が明けた。大学ラグビーのシーズンも佳境を迎え、1月2日、明治は2年ぶりとなる大学選手権の準決勝を戦った。相手は2回戦で早稲田を下した帝京だ。対抗戦では完封負けを喫した相手だけに、この試合では明治らしさを存分に発揮してほしい。雲一つない晴天に、風も微かと絶好のコンディションの中、多くの期待を背に受けて、明治の集大成を見せる試合を戦った。
試合開始のおよそ1時間前から、明治のウォーミングアップが始まった。時折、準決勝のもう一試合、慶應対東海戦の歓声が聞こえる中、国立競技場のサブトラックで徐々に体を暖めていく。選手たちの表情は、普段の試合前と変わらないように見える。大舞台を前にしても、気負うことはない、たくましさを感じることができた。体が温まるにつれて、声も徐々に大きくなっていく。サブトラックには、長い間、明治の声が響き渡っていた。
14時05分、キャプテンの西原を先頭にして、選手たちがグラウンドに登場した。リザーブの選手も含めた全員で円陣を組む明治。観客席からは大きな声援が送られる。明治が持てる力を出しきる80分が始まった。帝京のキックオフで前半の幕が開ける。開始1分には、この試合初のスクラムが明治ボールで組まれた。明治と帝京のフォワードの仕上がりを占う場面だったが、帝京がペナルティをとられる。続く前半の2分には、明治ボールのラインアウト。帝京がカットを試みるが、ファンブルしたボールに7西原が素早く反応した。落ち着いたプレーを続ける明治のフィフティーン。前半3分には、待望の先制点を挙げる。大会を通じて好プレーを続ける11小泉が鋭いステップから大きくゲイン。10田村、7西原とつなぎ、最後は4鎌田が右サイドから見事にトライを奪った。ゴールはならなかったものの、5-0とする。スクラム、ラインアウトとセットプレーでの安定感のある明治は、帝京の圧力を前にしても屈しない。前に出るディフェンスで、帝京を抑え込んでいった。
明治は得点後も落ち着いて積極的なプレーを続ける。しかし自陣22メートルライン付近での攻防が続いた前半8分、帝京にペナルティゴールの機会を与えてしまう。これを決められ5-3。前半12分には帝京がゴールライン前まで迫るも、明治の粘り強いディフェンスでしのぐ。ブレイクダウンなどの局面で烈しい主導権争いが続く中、前半20分には明治がチャンスを迎える。ターンオーバーから素早く展開し、11小泉へパスがつながると、鋭いステップでラインブレイク。大きくゲインする。敵陣深くからマイボールラインアウトのチャンスを得た明治は、モールを作りトライを狙う。しかしこれを帝京に潰されてしまい、最後はペナルティでこの機会を逸した。再びスコアが動いたのは前半24分。先の失点と同じく、帝京のペナルティゴールから。5-6と逆転される。完全に崩されていないだけに、悔しい展開だった。
前半28分に、フォワードを入れ替えた帝京は、さらに圧力を増して明治陣内に攻め込む。そしてトライを許してしまう。モールを起点にサイドへ展開されてのこと。ゴールも決めて5-13と明治を突き放す。前に出るディフェンスで帝京の圧力を封じていた明治も、その後は再びトライとペナルティゴールを挙げられ、5-23でハーフタイムとなった。
エンドを替えた後半は、明治のキックオフでスタート。早々に追い上げたい明治だが、前半の終盤に見せた帝京の圧力は止まなかった。11小泉のラインブレイクや素早いパスワークで打開を試みるも、追加点を生むことができない。後半6分には帝京がトライを挙げて5-28。ペナルティゴールでさらに加点し、後半11分には5-31とされる。追う明治は後半16分に3小野に替えて17榎、6堀江に替えて19竹内のメンバーチェンジを行う。しかし帝京の勢いは止まらない。後半20分、29分と続けてトライを決める。5-43とリードを許してしまった。
それでも、自分たちのラグビーとトライをひたむきに目指す明治は、続けてフレッシュな選手を投入する。後半28分に10田村に替わって21染山、36分に14居迫に替わって22猿楽、38分には2伊吹に替わって16渡部、5名嘉に替わって18友永、9秦に替わって20下村がフィールドへ。将来の明治を担う選手たちが、帝京を相手に躍動する。そして後半もロスタイムに入った42分、明治は意地を見せる。22猿楽がスクラムサイドをラインブレイクして大きくゲイン。左サイドへと展開して、15石丸へとつなぎ、11小泉がインゴールへと飛び込んだ。帝京に一矢報いる、待望のトライだった。国立競技場には「明治! 明治!」と歓声が飛ぶ。21染山もコンバージョンを成功させて12—43とする。
その後も、11小泉や22猿楽を中心に帝京に襲いかかる明治。しかしスコアが動くことはなく、ノーサイドとなった。
帝京にスコアを離されての敗戦となった明治。試合後の記者会見でも西原主将が潔く語った。「完全な力負けだと思います。皆とも、自分の力を100%出しきることを大切にプレーしようと話していました。それはできたと思います。楽しかったです」。吉田監督もそれを感じたという。「魂を込めて、一人ひとりが力を出しきって勝負してくれたと思います」。「王座奪回」をテーマに昨年4月からスタートした新生明治。2年ぶりに国立のフィールドに立つなど、着実に結果を残すシーズンとなったことは間違いない。しかし、この結果に満足する訳ではない。
「王座奪回への道はまだまだこれから。5合目まできたくらいかもしれないですね。今シーズンはベスト4まで来ることができたけれど、その過程で様々な改善点を見つけました。今は明治の改善点をほとんど把握しています。それを修正していきます」と吉田監督は語った。
新チームの始動は2月から3月を予定。この試合で活躍した1、2、3年生の選手は数多い。彼らを中心に新生明治の2シーズン目がスタートすることになる。西原主将も将来に希望を託し「明治はこれからも伸びるチームです。今日の試合も後輩たちに何かを感じとってもらいたかったし、何かを残したかった」と語っている。こうして4年生から次の世代へと明治らしさは受け継がれていくのだろう。






























